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災害

姉川地震

明治42(1909)年8月14日15時31分に発生した姉川地震。 滋賀県北東部の姉川付近を震源として発生した地震は、マグニチュード6.8の内陸直下型地震であり、滋賀県から福井県にかけて北北西に伸びる〝柳ヶ瀬断層〟が活動したと考えられている。 現在の長浜市で最大震度6、滋賀県内全域で震度5~4を記録した。東北地方南部から九州地方の一部にかけての広い地域で有感地震が観測された。
直下型地震であったため、被害は震源に近い滋賀県と岐阜県に生じ、特に大きな被害は滋賀県に集中したが、中でも虎姫 東浅井郡大谷別院に設けられた郡役所村(旧東浅井郡虎姫町)では、全村の平均29%にあたる住宅が全壊した。 虎姫村は震源より約8km離れているが、姉川本支流の間に位置し地盤が弱かったため、虎御前山麓の一部を除き甚大な被害を出した。 そのため『虎姫地震』とも呼ばれている。他に山崩れ70カ所、伊吹山の斜面の一部が崩落。姉川河口の川底が数十m沈降し、琵琶湖では高さ1.8mの波が押し寄せた。

被害状況

  • 死者 41名(滋賀県35人 うち虎姫17人)
  • 重傷者 133人(滋賀県115人 うち虎姫53人)
  • 軽傷者 651人(滋賀県528人 うち虎姫117人)
  • 全壊家屋 978戸(滋賀県972戸 うち虎姫284戸)
  • 半壊家屋 2.444戸(滋賀県2.367戸 うち虎姫518戸)

死者別要因

潰家による圧死 34人

石灯籠による圧死 1人

炊き出し救助

  • 東浅井郡 92カ所 のべ人員 35.860人
  • 坂田郡 4カ所 のべ人員 674人

救護所

  • 五村別院…日赤患者収容所
  • 虎姫駅前、湯田村尊勝寺…西本願寺救護所
  • 虎姫中野…東本願寺救護所
  • 田根村高畑…日赤救護所
  • 各所…医師会東浅井支部救護所

当時の新聞から

明治42年8月15日付 日出新聞(京都新聞の前身)

五村 日赤患者収容所

十四日発 地方電報 本日午後三時三十五分大激震あり。 振動時間約四分にわたり、石灯籠倒れ、壁に亀裂を生じ、その他の器物損壊、柱時計止まれり。激震後、弱震六、七回もあり。 人心すこぶる恐々として、被害の程度は目下調査中。

明治42年8月16日付 東京日日新聞(毎日新聞の前身)

五村公設避難所

一昨日の地震 十四日の地震につき、、中央気象台員の談によれば、発震時刻は午後三時三十分にして、震源地は近江長浜付近、琵琶湖地方の地盤亀裂したる軟弱な地方なるべし。 震動時間は約五分時以上のところ多く、性質は上下動、水平動なりしが、その強震区域は彦根、岐阜等最も甚だしく…。

明治42年8月16日付 大阪朝日新聞(朝日新聞の前身)

五村公設避難所

震源地見聞 15日発 長浜
昨夜、虎姫駅に下車しようとしたが、到着した虎姫駅停車場には小さな物置1棟だけを残し、無残に倒壊していた。足の踏み場もなかったため、同駅を乗り越して高月駅に下車、道路沿いに速水警察を目指す。(略)
翌日虎姫に向かう。沿道の民家は4~5軒はやや満足な家があるかと思えば、数十戸が折り重なるように将棋倒しに倒れ、腰の曲がった老人達が潰家の周りをウロウロとしている。
多くの人々が集まり、「おかげ様で命が助かり、ありがたいことです。」としみじみ語る様が何とも気の毒である。虎姫村は郡の中心地だけに、被害もとりわけ激しく見える。
虎姫停車場は全潰したため、破損家屋の中から電信機を引きずり出し、ようやく電信事務を再開することができた。列車が到着する度に、労働者や負傷者を長浜・彦根方面へ運び出すため混雑が甚だしい。
五村別院の庫裡を利用した東浅井郡役所は、地方有数の建物であるにもかかわらず、微塵に破壊され悲惨な姿を極めている。別院本堂は倒壊を免れたものの、柱が少し傾いている。

他の震災との比較

関東大震災

1923年(大正12)9月1日11時58分
神奈川県相模湾北西沖80kmを震源 M7.9
190万人被災、105000人余が死亡あるいは行方不明

阪神・淡路大震災

1995年(平成7)1月17日午前5時46分
淡路島北部沖の明石海峡を震源 M7.9
死者 : 6,434人 行方不明者 : 3人 負傷者 : 43,792人

東日本大震災

2011年(平成23)3月11日14時46分
宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源 M9.0
死者15,867人、重軽傷者は6,109人、届出があった行方不明者は2,906人(2010.7.18現在)

(写真はすべて滋賀縣震災地實景より)