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環境

ヨシの水質浄化作用~ヨシ行けどんどん作戦~

ヨシとは?

ヨシは北海道から沖縄までの湖沼や河川の水辺に大群落を形成する代表的な大型抽水植物。
4月に出た新芽が、水中の窒素やリンを吸収しながら、わずか2~3ヶ月の間に2m近くにまで成長し、12月中旬~3月下旬の刈り取り時期には4m近くまで伸びます。 窒素やリンを吸収したヨシを刈り取ることにより、水中の汚染物質が湖外へ出る。これがヨシの浄化作用で、琵琶湖の富栄養化を防ぐ仕組みになっています。

水をきれいにする

ヨシ群落には、"水をきれいにする"3つの働きがあります。

  • 富栄養化の要因となる、水中の「窒素」や「リン」を養分として吸い取る。

    ※富栄養化…湖沼等の水中に溶けている窒素・リン等の栄養塩類が多い状態。富栄養化が 進むと、植物プランクトン等の異常繁殖によって赤潮・アオコの発生に繋がります。

  • ヨシの水中の茎につく微生物や群落の土中の微生物によって水の汚れを分解する。
  • 水の流れを弱くし、水の汚れを堆積する。

魚・鳥のすみか(生態系保全)

ヨシ群落には多くの魚の卵が産み付けられ、卵からかえった小魚はヨシ群落の中を餌場や隠れ家として育ちます。また、滋賀県には約280種の野鳥が観察されており、多くの野鳥が産卵・生育、そして棲みかとして利用しています。

CO2吸収

植物の特徴である"光合成"を行い、二酸化炭素から炭水化物を合成し、大気中かCO2を除去しています。

琵琶湖におけるヨシ群落の現状

琵琶湖周辺のヨシを中心とした抽水植物群落は、琵琶湖本湖に127.9ha、内湖に170.4ha。 内湖は琵琶湖岸総延長の3分の1、面積は琵琶湖の0.6%しか占めてませんがヨシを中心とした抽水植物群落の60%が内湖に分布しています。

ヨシ群落を守り、育て、活用する

1953年頃、約280haあったヨシ群落は1991年には約130haの面積まで減ってしまいました。
1992年、滋賀県は「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」を制定(2002年一部改正)し、ヨシの衰退を食い止めることを促進。 琵琶湖のエリアにあった保全・育成活動を展開し、水辺域生態系と生物多様性の保全が図られています。

ヨシ行けどんどん作戦~美しい水を未来へ~

2002年度から、長浜市立びわ中学校では、「ヨシ行けどんどん作戦」と名付けて、毎年PTA行事として、琵琶湖岸に親子でヨシを植栽する活動が行われている。 この水質保全の活動は、地道な取り組みや創意工夫、各種団体の支援により、ヨシ群落も少しずつ再生しつつある状態となってきた。 また、地域や学校ぐるみの取り組みがようやく定着し、実を結びつつある。 琵琶湖近くに位置する本校の環境教育としても教育的な効果が大きく、実践的な取り組みのひとつとなっている。県でも実践的な環境教育の取り組みとして高く評価されている。

  • 2002年の様子

  • 2007年の様子

参考文献