平成24年6月15日号
- [公開日:2012年6月19日]
- [更新日:2021年9月1日]
- ID:95
国指定重要文化財「木造半肉彫千手観音立像(神照寺)」
- 指定日:明治38年4月4日指定
- 所在地:長浜市新庄寺町

四半世紀前、京都のある老仏師に、「どういう思いで、仏像を彫っているのですか?」と、不躾な質問を投げかけたことがあります。仏師は頬を緩めて、「ホトケさんを彫ろうと思った時には、すでに木の中にホトケさんがおりますんや。余分な木屑を取り除いて、中からホトケさんをお迎えするのが、私ら仏師の務めですわ」と答えてくれました。
一般の仏像は、どの方向から見ても矛盾しないように立体的に表現されますが、本像は、ヒノキの厚い一枚板から半肉彫りで彫り出され、裏は平板のまま仕上げられています。半肉彫りの技法は、石造品(石仏)には多く見受けられますが、木彫像では極めて珍しいものです。
本像は、光背のように多数の脇手をあらわし、総体に肉付き豊かで、細部にまで精緻に刻まれています(平安時代後期、11世紀作)。まさに、木の中からこの世にホトケが出現する瞬間を垣間見せているようです。
(『広報ながはま』平成24年6月15日号より)
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