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あしあと

    平成25年5月15日号

    • [公開日:2013年7月31日]
    • [更新日:2021年9月1日]
    • ID:131

    長浜市指定文化財「木造十一面観音坐像(日吉山王二十一社本地仏のうち)(日吉神社)」

    • 指定日:平成14年3月29日
    • 所在地:長浜市高月町井口
    日吉神社十一面

    観音の里として知られる湖北地方は、また神仏習合(しんぶつしゅうごう)の色彩が強く残る地域でもあります。観音堂・薬師堂などの多くは神社と境内を並べ、オコナイなどの民俗行事にもその名残が見られます。

    今回紹介する観音像もその一例です。像容は十一面観音を示しますが、その背には「客人宮(まろうどのみや)伊弉冉尊(いざなみのみこと)」と神名が墨書されています。

    日吉山王二十一社とは、比叡山(天台宗)を守護する代表的な神々で、「上七(かみしち)・中七(なかしち)・下七社(しもしちしゃ)」から成ります。山王二十一社は、絵画として表されるケースは多いのですが、彫像としての遺例は極めて少なく、これをほぼ揃えた本例は学術上貴重で、神仏習合時代の遺品として、また湖北地方の中世史を考える上で貴重な資料です。

    また、山王二十一社の主神である「大宮・二宮」(釈迦・薬師如来)よりも、十一面観音像(客人)がひときわ大きく造られていることも注目されます。客人とは、白山から勧請された神であることを示します。白山の影響を受け、十一面観音信仰の盛んな湖北地方の土地柄によるものと考えられます。

    (『広報ながはま』平成25年5月15日号より)