ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

検索

あしあと

    平成25年6月15日号

    • [公開日:2013年7月31日]
    • [更新日:2021年9月1日]
    • ID:132

    長浜市指定文化財「木造聖観音坐像(源昌寺)」

    • 指定日:平成24年4月24日指定
    • 所在地:長浜市余呉町上丹生
    源昌寺聖観音

    茶碗祭(ちゃわんまつり)の舞台として知られる上丹生薬師堂(かみにゅうやくしどう)に本像は安置されています。低く抑えた髻(もとどり)や、丸みを帯びた顔と肩、奥行の浅い体つきなど平安時代末期の古風さを残しますが、浅く簡略化された衣文線(えもんせん)から鎌倉時代前期(13世紀前半)の作と考えられます。

    薄く長く引いた眼に、強くすぼめた口元、小さく括(くく)った顎といった個性的な表情は、薬師堂本尊の木造薬師如来立像や、近隣の洞寿院(とうじゅいん)観音堂(長浜市余呉町菅並)の木造観音菩薩立像に通ずるところがあります。いずれも重要文化財である2尊は、像背面墨書銘(ぼくしょめい)からそれぞれ建保3年(1215)とその翌年の作とわかる基準作例で、刻線で表す線状の衣文線や、木目を見せる素木(しらき)造りも本像と共通します。

    本像はこれらと同じ工房でつくられたのかもしれません。2尊は秘仏のため実見が難しく、詳細な調査が待たれますが、奈良や鎌倉を中心に仏師運慶(うんけい)や快慶(かいけい)が活躍していた同時代、ここ余呉地域にも仏師がいたことを想像させます。

    (『広報ながはま』平成25年6月15日号より)