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あしあと

    平成25年8月15日号

    • [公開日:2014年8月12日]
    • [更新日:2021年9月1日]
    • ID:137

    重要文化財「木造十一面観音坐像(知善院)」

    • 指定日:明治38年4月4日
    • 所在地:長浜市元浜町
    知善院十一面坐像

    深く瞑想する眼差しには、キラリと光る玉眼がはめ込まれています。頭部に内刳(うちぐり)を施して眼の部分をくり抜き、内側から瞳を描いた水晶の薄い板を当てて、和紙や綿で押さえて木片・竹釘などで固定する技法です。

    玉眼をもつ現存最古の作例は奈良・長岳寺(ちょうがくじ)の阿弥陀三尊像といわれます。平安時代後期、仁平元年(1151)の作であることから、玉眼像に出会ったらほとんどは鎌倉時代以降の作といえるでしょう。

    知善院(ちぜんいん)の十一面観音坐像も、仏像にリアリティや力強さを求めるようになってきた鎌倉時代(13世紀前半)の作です。精緻な毛筋彫(けすじぼり)の頭髪や、目力を宿した端正な表情、写実的な衣文(えもん)表現など、小柄な像容の随所にこの時代らしさがうかがわれます。また、肉身部を金泥(きんでい=金粉をニカワで溶いた絵具)で塗り、着衣部に金箔を押して、同じ金色でも光の反射の違いによる変化を付けています。仏師は不明ながら運慶や快慶たちの一派、いわゆる慶派仏師の作と考えられています。

    (『広報ながはま』平成25年8月15日号より)