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あしあと

    平成26年1月15日号

    • [公開日:2014年8月12日]
    • [更新日:2021年9月1日]
    • ID:149

    長浜市指定文化財「木造菩薩形立像(田中神社)」

    • 指定日:昭和62年11月3日
    • 所在地:長浜市湖北町田中
    田中神社菩薩形立像

    田中神社境内の本地堂(ほんぢどう)に、十一面観音像(市指定文化財、11月15日号掲載)とともに伝わる像。地元では、勢至菩薩(せいしぼさつ)の像であると伝えられてきました。

    現状は、月輪(がちりん)を載せた蓮茎を執ることから、月光菩薩(がっこうぼさつ=薬師如来の脇侍)と呼ぶべきですが、この持物(じもつ)は近世の修補によるもので、当初の尊名ははっきりしていません。わが国では、勢至菩薩を単独で造像する遺例は皆無です。阿弥陀三尊は、阿弥陀如来を中尊にして、左右に聖観音・勢至の両菩薩を従える構成ですが、この堂の観音は十一面観音であり、大きさや像の表現も大きく異なり、2体は本来、別々に造られた像であることがわかります。いつの時代にか、観音に対し、この像を勢至菩薩と呼ぶようになったのでしょう。像は、ヒノキとみられる1材から彫り出され、素朴な作りから、地方仏師の手によるものと思われます。十一面観音像と同じく、平安時代も後期、12世紀頃の作とみられ、当初は聖観音像として造られた可能性が高いと考えられます。

    (『広報ながはま』平成26年1月15日号より)