『層』208号
- [公開日:2012年6月5日]
- [更新日:2021年9月1日]
- ID:370

宇根遺跡第4次調査(高月町宇根)

宇根遺跡は高月町宇根に所在し、弥生時代から中世の集落跡として周知されています。過去の調査では、今回の調査地の東方で調査が行われ、多数の遺構が見つかっています。
今回の調査は、個人住宅新築に伴う発掘調査で、4月19日に試掘調査を行ったところ、柱跡などの遺構が見つかり、記録保存のために本発掘調査(調査期間は4月20日から5月17日まで)を実施することになりました。
本発掘調査は、重機を用いて遺構面直上まで掘削を行い、その後人力で遺構を見つける作業を行いました。調査の結果、調査地の南端は撹乱を受けていましたが、多くの遺構が見つかりました。遺構は、土坑や柱穴で、柱穴は50基以上が見つかりしました。

調査地の中央には土坑があり、この土坑は当初1つと考えていましたが、南側と北側に分かれる2つの土坑であることがわかり、重なりから南側が新しい土坑ということがわかりました。柱穴や溝は土坑によって部分的に壊されているため、土坑より古い時代のもので、柱穴の多くは痕跡だけでした。しかし、中には当時の柱の根元が腐らずに残っているものもありました。
見つかった柱穴の中には、長さの長いもの(60センチメートル程度)や、短いもの(10センチメートル程度)などさまざまで、太さは30センチメートル程度の柱もありました。柱の中には、土に埋まった部分に穴があいているものがあり、柱を切り出し移動させる時に引っ掛けるために加工したのかもしれません。(写真下)
また、見つかった柱穴が同じ時代に存在したのではなく、重なりのある柱穴もあることから、さまざまな時期に掘立柱建物の建て替えを行いながら暮らしていたようです。

遺物は土師器皿や陶器、磁器の破片などが少量で、細片が多く出土しました。中には、縁の部分が焼け焦げており、燈明皿として使用した痕跡を持つ土師器皿の破片も有りました。
遺跡の時代は中世で、掘立柱建物を主とした集落跡と考えられます。
(平成24年6月6日発行)
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