重要文化財 絹本著色三月経曼荼羅図 1幅 鎌倉時代 舎那院
 この図は十六善神画像の系統に配されるものと考えられ、中央に釈迦如来ならびに文殊・普賢両菩薩を描いて諸羅漢諸神を配置している。その周辺の表具は所謂書き表具と称せられるもので、中廻しには三鈷を連ねた文様を、外廻しには蓮唐草文様を描いて、精密をこらした曼荼羅図である。三月経とはどういうものかわからないが、おそらく大般若教転読の際に、この曼陀羅図を掲げたのであろう。
 この図で注目すべきことは右下方諸神の中に我が国の宮嬪らしい装いの神が描かれていることである。このころの我が国の仏教は、教義が単に日本化したばかりでなく、その礼拝対象となる仏像、仏画等も和様を示すようになったので、この現れがこの図の和装の一神をわざわざ描いたことは数少ない一例として見逃すことができない。
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