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    【日本ソフト開発株式会社様】南ながはま協創パートナー企業インタビュー

    • [公開日:2026年6月30日]
    • [更新日:2026年6月30日]
    • ID:16968

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    日本ソフト開発株式会社(米原市)の代表取締役社長 蒲生様にお話をおうかがいしました。

    ICTで『心の豊かさ』を守り、データで『街の意思』を研ぎ澄ます

    物質的な豊かさから、ICTによる「心の豊かさ」へ

    ――日本ソフト開発様は、南長浜のビジョン検討段階からアドバイザーとして多大なご尽力をいただいています。米原を拠点にしながら、環境・教育・健康という多角的な分野で全国シェアを誇る御社の、現在のミッションについてお聞かせください。

    蒲生)ありがとうございます。私たちの社会は、高度経済成長期を経て「モノ」に関しては十分に充足しました。しかし、モノが豊かになった一方で、持続可能性(サステナビリティ)や心の豊かさという面では、新たな課題に直面しています。当社が今、ICTの力で注力しているのは、アルファベットの「K」を頭文字とする3つのテーマです。

    環境(Kankyo):

    私たちの原点の一つは、生命の源である「水」を守ることです。全国の上下水道やダム、河川の監視を行う『ウォーターパトロール』等のシステムは、全国の自治体でトップクラスのシェアをいただいています。2022年には、この公共インフラを支えるDXの取り組みが評価され、第16回 ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2022にて「総務大臣賞」を拝受しました。目に見えない場所で、地域の安全と環境を24時間守り続ける。これが私たちの使命です。

    教育(Kyoiku):

    「三つ子の魂百まで」と言いますが、私たちは「幼少教育」こそが社会の基盤だと考えています。AIが知識(IQ)を瞬時に提供してくれる時代だからこそ、人間には「創造力」や「心の豊かさ(EQ)」が求められます。当社の保育園向けICTサービスは、単なる業務効率化ツールではありません。事務作業をデジタル化することで、先生が子どもたちと向き合い、愛情を注ぐ時間を1分でも長く創出するためのものです。米原という地から、全国の子どもたちの未来を支える仕組みを発信しています。

    健康(Kenko):

    持続可能な社会には、一人ひとりの健康が不可欠です。私たちは「運動」と「栄養」の可視化に取り組んでいます。例えば、日本栄養大学(旧・女子栄養大学)とタイアップし、管理栄養士の知見をシステム化することで、日々の食事から健康状態を可視化するサービスを展開しています。


    これら「3つのK」を通じて提供したいのは、単なる便利なシステムではありません。ICTを「心の豊かさ」や「安心」に変え、人口減少社会においても人々が健やかに暮らせる土壌を整えること。それが、地方から全国を変えていく私たちのシーズだと確信しています。

    「データドリブン」が行政の縦割りを打破する

    ――自治体との連携において、今後重要になる視点は何でしょうか。

    蒲生)決定的に重要なのは「データの利活用」です。現在、行政のデータは部局ごとの「縦割り」で眠っています。これを横軸でつなぎ、市長や職員が自らデータをハンドリングして政策の検証や意思決定を行う「データドリブン」な姿勢が必要です。膨大なデータを数秒で処理できる現代の技術を使えば、エクセルを扱うような感覚で、確かなエビデンスに基づいた政策立案が可能になります。

    蒲生)もう一つは「自治会・住民とのデジタル連携」です。高齢化が進む中、見守りや要望の吸い上げをアナログな手法だけで続けるのは限界があります。ICTで役所と自治会、そして住民をダイレクトにつなぐことで、地域のマンパワー不足を補い、安心感を醸成できるはずです。

    ――南長浜地域でも、高齢化やマンパワー不足は深刻な課題です。見守りシステムの構築など、具体的な解決の糸口はありますか。

    蒲生)実は「見守り」は、ICTで最も解決しやすい領域です。テレビのオンオフや冷蔵庫の開閉など、生活動線のセンシング(計測)は技術的に何ら難しくありません。問題は技術ではなく、新しい手法への「反対意見」で立ち止まってしまうこと。AIの進化は想像を絶するスピードで進んでいます。これからの時代、AIを遠ざけるのではなく、いかに共生し、前へ進めるかという「勇気」が問われています。また、南長浜の核である「長浜バイオ大学」の存在は極めて重要です。どれだけ立派な箱モノを作っても、若者が集まらなければ未来はありません。産業界の知見を教育現場に呼び込むコーディネート機能を強化し、若者が「ここで学びたい、働きたい」と思える磁力を作る。南長浜をその「実験場」として全域に波及させていく視点が必要です。

    行政への提言:市民と向き合う「エストニア風」の仕事環境へ

    ――官民連携を進める上で、行政組織そのものの「仕事のあり方」へのアドバイスがあればお願いします。

    蒲生)本気でまちづくりを進めるなら、市役所のあり方を「エストニア風」に変えていくべきだと私は考えています。電子政府の先進国であるエストニアでは、役所のフロント(窓口)に立つ職員は、常に市民と向き合って仕事をしています。職員同士が背中を向け合い、奥のデスクで書類と格闘する光景はありません。デジタルで完結できる業務はすべて自動化し、空いた時間で市民の声に耳を傾ける。これこそが、自治体があるべき姿です。

    ――「市民に向き合う時間を創る」ために、具体的に何から手をつけるべきでしょうか。

    蒲生)まずは「現場のデータ」を徹底的に可視化し、共有することです。私たちが総務大臣賞を受賞した『専管監視・現場状況可視化サービス』は、まさにそこを解決するためのものです。かつて、上下水道などのインフラ管理は、熟練の職員による「経験と勘」に頼り、現場でしか分からない状況が多くありました。しかし、弊社のシステムは、それらをリアルタイムにデータ化し、誰でも多面的に状況を把握できるようにしました。これを行政運営全般に広げ、「データドリブン(データに基づく意思決定)」へと移行させるべきです。

    蒲生)例えば、紙の資料を1冊作るために、どれだけの職員が、どれだけの時間をかけて集計作業をしているでしょうか。資源も時間も限られている今、そうした「作業」はICTに任せればいい。蓄積された大量のオープンデータやクローズドな内部データを横軸でつなぎ、瞬時に分析・可視化する。そうして得られた「確かな根拠」をもとに、市長や職員がこれからの政策をハンドリングしていく。このスピード感と透明性があってこそ、行政は市民からの信頼を勝ち取れるのです。

    ――耳の痛いお話ですが、ICTの活用は単なる効率化ではなく、行政が「誰に向き合って仕事をしているのか」という原点に立ち返るための手段なのですね。

    蒲生)その通りです。前例踏襲の「ラベル貼り」のような仕事から脱却し、AIやデータを正しく使いこなす。我々としても、職員の皆様がよりクリエイティブに、そしてより市民の近くで働ける環境を、共に構築していきたいと考えています。

    蒲生)南長浜地域まちづくり検討会議の委員の皆さんは非常に熱い思いを持っています。一方で熱量が高すぎると「ゼロ」から何かを創ろうとする傾向があります。そうではなくて、長浜にある既存のアセット、黒壁や竹生島、豊かな歴史を有機的に結びつけ、新しい価値を創出してほしい。私たちはそのための「仕掛け」をICTの側面から全力でサポートさせていただきます。

    ――ありがとうございます。南長浜のまちづくりを進める上でも非常に参考になるお話をいただきました。