離婚後の子の養育に関する民法等改正
- [公開日:2025年12月18日]
- [更新日:2025年12月18日]
- ID:16429
令和6年5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました。
この法律は、こどもを養育する父母の責務を明確化するとともに、親権(単独親権、共同親権)、養育費、親子交流などに関するルールが見直され、令和8年4月に施行されます。
親権・養育費・親子交流などに関する民法改正のポイント
親の責務に関するルールの明確化
親権や婚姻関係があるかどうかに関わらず、こどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。
こどもの人格の尊重
父母は、親権や婚姻関係の有無に関係なく、こどもが心も体も元気でいられるよう育てる責任があります。こどもの利益のために、こどもの意見にしっかりと耳を傾け、こどもの人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
父母には、親権や婚姻関係の有無に関係なく、こどもを養う責任があります。「養う」度合いは、こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
父母は、親権や婚姻関係の有無に関係なく、お互いを尊重して協力し合う義務があります。下記のような行為はこのルールに違反する場合があります。
・暴力や相手を怖がらせるような言動、濫訴
・他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
・特段の理由なく他方に無断でこどもの住む場所を変えること※
・特段の理由なく約束した親子の交流の実施を拒むこと
※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。
こどもの利益のための親権行使
親権(こどもの世話や教育をしたり、こどもの財産を管理したりする権利や義務)は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
親権に関するルールの見直し
これまでの民法では、離婚後は、父母のどちらかだけを親権者として決めなければなりませんでした。これからは、離婚後に父母2人ともが親権を持つ共同親権、1人だけが親権を持つ単独親権の選択ができるようになります。
父母2人ともが親権を持つ【共同親権】の場合
<日常のことは、一方の親で決められる>
毎日の生活に必要なこと、例えば食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
<大切なことは父母2人で話し合う>
こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては、父母が話し合って決められます。なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
一方の親が決められる緊急のケース
暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがで緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。
養育費の支払確保に向けた見直し
養育費を確実に、しっかりと受け取れるように新たなルールの創設やルールの見直しが行われました。
合意の実効性の向上
これまでは、養育費の支払いがされない場合には「債務名義」という一定の文書が必要でしたが、今回の改正によって「先取特権」と呼ばれる優先権が与えられるため、文書で養育費の取り決めがあれば、その文書をもって一方の親の財産を差し押さえる申立てが可能になります。改正法施行前に養育費の取り決めがされていた場合には、改正法施行後に発生する養育費に限ってこの改正が適用されます。
法定養育費
離婚時に養育費の取り決めがなくても、取り決めるまでの間、こどもと暮らす親が他方の親へ、こども一人あたり月額2万円の養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものであり、父母の協議や家庭裁判所の手続きにより、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取り決めをしていただくことが重要です。
※法定養育費は父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
裁判手続きの利便性向上
家庭裁判所は養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどものことを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し、親子交流の試行的実施を促します。
婚姻中別居の場合の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、成立しない場合には家庭裁判所の審判等で決めることが明確に記されました。
父母以外の親族とこどもの交流
こどもと祖父母などとの間に親子のような親しい関係があり、こどものために特に必要があるといった場合は、家庭裁判所はこどもと父母以外の親族との交流について定められるようになります。
Q&A
Q.共同親権になった場合、児童手当や児童扶養手当の支給などに影響がありますか?
離婚後に児童手当や児童扶養手当を支給する場合は、民法上の親権や監護者の定めの有無にかかわらず、こどもを育てている実態があるか否かでその支給対象者を判断しています。離婚後の父母双方が親権者となった場合にも、こどもを育てている実態があるかどうかで手当の支給対象者を判断します。
また、児童扶養手当の所得制限の所得算定については、受給者本人の所得によることとしているため、離婚後の父母双方が親権者となることにより算定に影響はありません。
Q.共同親権になった場合に、ひとり親家庭支援※の対象者の取扱いには何か影響はありますか?
ひとり親家庭支援は、親権の有無にかかわらず、配偶者のない者で現にこどもを扶養している者等を支援の対象者としており、離婚後の父母双方が親権者である場合でも対象者の取扱いに影響はありません。
※自立支援教育訓練補助金事業、高等職業訓練促進補助金等事業、母子父子寡婦福祉資金貸付等
関連ページ
お問い合わせ
長浜市健康福祉部こども家庭支援課
電話: 0749-65-6514
ファックス: 0749-64-1767
電話番号のかけ間違いにご注意ください!
