高月観音の里資料館
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特別陳列「八木浜文殊院の密教美術」


                   期間: 令和元年6月19日(水)-8月19日(月)
 
 開催趣旨
 長浜市八木浜町は琵琶湖に面した集落で、八木浜港があります。慶応4年(1868)には、琵琶湖の増水により集落内の西照寺の上り段が3段ほど水没し、家2軒が波に取られたといいます。江戸時代後期には、湖水上昇による水害を軽減するため、県内の湖辺集落とともに「瀬田川(大津市)の川浚(かわさら)え」の請願活動を積極的に行い、川浚えの実現につながりました。
 文殊院は真言宗豊山派(ぶざんは)の寺院です。本尊不動明王坐像や五智如来・弘法大師像など木彫像の他、種字両界曼荼羅図(しゅじりょうかいまんだらず)、十三仏図、阿弥陀来迎図、涅槃図、地蔵菩薩、十一面観音・吉祥天(きっしょうてん)三尊像などの仏画も多数伝来しました。
 この春、文殊院の仏像・仏画類が高月観音の里歴史民俗資料館に寄託されたことから、これら密教美術を展示公開します。本展を通じ、湖北地方の信仰文化の一端に触れていただければ幸いです。

主催:高月観音の里歴史民俗資料館
             
       
 おもな展示資料
 
「大日如来坐像」
1躯(五智如来のうち) 像高25.2cm
江戸時代 寄木造・玉眼・漆箔 
文殊院蔵(高月歴民寄託)

 文殊院には正面に3つの厨子が並んでいます。本像は、向かって左の厨子に安置される、智拳印(ちけんいん)を結ぶ金剛界(こんごうかい)の大日如来坐像。大日如来は、密教における中心仏です。文殊院には、ほかに4躯の同サイズの如来坐像も伝わり、もとは五智如来を構成していたと考えられますが、各如来像は現在、蓮華(れんげ)や薬壺を執り、当初の尊名は詳(つまび)らかではありません。台座裏の銘文から、長浜町の仏師・彫常の作であることがわかります。
   
「不動明王坐像」
1躯 像高39.3cm
江戸時代 寄木造・玉眼・彩色
文殊院蔵(高月歴民寄託)

 本像は、中央の厨子に安置される当寺の本尊。不動明王は、密教における根本仏・大日如来の化身といい、一切の衆生(しゅじょう)を救うために、剣を執り忿怒(ふんぬ)の相で導こうとする、密教特有のホトケです。本像は、眼光鋭い迫真の表情に特色があります。
   
 「種字両界曼荼羅図」 2幅 
本紙 金剛界:タテ 65.0cm×ヨコ53.8cm、
胎蔵界:タテ 64.8cm×ヨコ53.7cm
表具 金剛界:タテ144.0cm×ヨコ67.6cm、
胎蔵界:タテ143.8cm×ヨコ67.6cm
室町時代 絹本著色



 両界曼荼羅は、真言宗の開祖・空海が唐から請来した密教の根本本尊です。『大日経(だいにちきょう)』に基づく胎蔵界(たいぞうかい)曼荼羅と『金剛頂経(こんごうちょうきょう)』に基づく金剛界曼荼羅からなります。いずれも中央に大日如来が、その周囲には多くの仏教の諸尊が配されます。本作は、紺に染めた絹に金泥で、それぞれの仏尊を梵字(種字)で表す種字曼荼羅と呼ばれるものです。本紙の上下の一文字は裂地(きれじ)ではなく描いて表わす「描表装(かきびょうそう)」となっている点にも特色があります。
 胎蔵界
 
金剛界   
   
 「阿弥陀来迎図(らいごうず)」 1幅
本紙 タテ82.8cm×ヨコ34.6cm、表具 タテ154.2cm×53.7cm
室町時代 絹本著色


 臨終に際し、西方極楽浄土から阿弥陀如来が迎えに来る様子を描いたものを、阿弥陀来迎図と呼びます。本図は、飛雲上(ひうんじょう)の踏割蓮華座(ふみわりれんげざ)に立ち、「来迎印」を結ぶ阿弥陀如来を正面向きに表わしています。肉身部は金泥により金色に彩色され、着衣部は金泥により衣文線(えもんせん)やさまざまな文様が、装飾性豊かに描かれています。
   
「地蔵菩薩・十一面観音・吉祥天三尊像」 1幅
本紙:タテ91.7cm×ヨコ39.1cm、
表具:タテ161.5cm×ヨコ55.9cm
江戸時代 紙本(しほん)著色


 地蔵菩薩を中尊とし、左右に十一面観音と吉祥天を配した三尊像。地蔵菩薩は、通常左手に宝珠(ほうじゅ)をのせ、右手に錫杖(しゃくじょう)を執る姿をみせますが、本図の地蔵は、右手は肘をまげて胸の前で第1指と第2指を捻(ねん)じて掌(たなごころ)を前に向ける特異な形に描かれています。この形姿は、「矢田型(やたがた)地蔵」と呼ばれるもので、大和郡山(奈良)の金剛山寺(通称・矢田寺)の本尊の姿をもとにしています。
   
「不動明王像」 1幅
本紙:タテ104.0cm×ヨコ41.4cm、
表具:タテ157.2cm×56.8cm
室町時代 絹本著色


 天地眼(てんちがん)・牙上下出(がじょうげしゅつ)を表し、右手に三鈷剣(さんこけん)、左手に羂索(けんさく)を執り、火炎光背を背に岩座に立つ不動明王を描いています。向かって右下に「妙澤(みょうたく)老人□□」とあり、南北朝時代の臨済僧・龍湫周澤(りゅうしゅうしゅうたく)(妙澤、1308-88)画の不動明王図を模写したものと考えられます。中世、密教信仰が禅僧の間で流行し、81歳で没した妙澤は、不動を描くこと1日1枚、これをおよそ三十年間休むことなく続けたと伝えます。
   
 「興教大師像(こうぎょうだいしぞう)」 1幅
本紙:タテ86.3cm×ヨコ39.7cm、
表具:タテ153.5cm×ヨコ53.7cm
江戸時代・元禄5年(1692) 絹本著色


 「真言宗中興の祖」と称される、平安時代後期の真言僧・興教大師覚鑁(かくばん)(1095〜1144)の肖像。覚鑁は、末法思想・浄土教が流行する風潮の中、念仏や浄土思想を真言教学に取り入れ理論化した「密厳浄土(みつごんじょうど)」思想を唱え、「密教的浄土教」を大成した人物です。のちに覚鑁は高野山を追われて根来寺(ねごろじ)(和歌山)に移り、その教義は新義真言宗として長谷寺(はせでら)(豊山派)や智積院(ちしゃくいん)(智山派)において隆盛していきました。
           
 など
 
関連事業
■展示説明会
  
  日時:令和元年7月20日(土)午後1時30分から
    場所:高月観音の里歴史民俗資料館 2階展示室

■第13回 観音検定ジュニア
     日 時:令和元年7月20日(土)〜9月1日(日)
     場 所:高月観音の里歴史民俗資料館内
     対 象:小学生・中学生
     共 催:NPO「花と観音の里」
     内 容:展示を参考にしながら問題を解いていきます。夏休みを利用して、観音さま
          のことや地域の歴史・文化を楽しく学んでみませんか?