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    1-1 土地に対する課税

    • [公開日:2016年10月28日]
    • [更新日:2023年7月25日]
    • ID:2386

    (1)評価のしくみ

    固定資産評価基準によって、売買実例価額などをもとに算定した正常売買価格を基礎として、地目別に定められた評価方法により評価します。

    地目

    地目は、宅地、田および畑(併せて「農地」といいます。)、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野並びに雑種地をいいます。固定資産税の評価上の地目は、登記簿上の地目にかかわりなく、その年の1月1日(賦課期日)の現況の地目によります。

    地目別の評価方法

    ア.宅地(市街地宅地評価法の場合)の評価方法

    1. 商業地や住宅地など利用状況に応じて区分し、それを街路の状況や公共施設等からの距離などを考慮して更に区分
    2. 標準宅地(奥行、間口、形状等が標準的なもの)の選定
    3. 主要な街路の路線価の付設
       ※地価公示価格、都道府県地価調査価格および鑑定評価価格の活用
    4. その他の街路の路線価の付設
    5. 各筆の評価

    イ.宅地(その他の宅地評価法の場合)の評価方法

    状況の類似する地区ごとに標準宅地を選定し、その適正な時価(地価公示価格等の7割を目途)に比準して、各筆を評価します。

    ウ.農地、山林の評価方法

    状況の類似する地区ごとに、標準的な田、畑、山林を選定し、その適正な時価(その算定の基礎となる売買実例価額に宅地見込地としての要素等があればそれに相当する価額を控除した価格)に比準して各筆を評価します。
    ただし、市街化区域農地や宅地等への転用許可を受けた農地等については、状況が類似する宅地等の評価額を基準として求めた価額から造成費を控除した価額によって評価します。

    エ.牧場、原野、雑種地等の評価方法

    売買実例価額や付近の土地の評価額に基づく等の方法により評価します。

    ※課税上の面積(地積)は、原則として登記簿に登記されている地積によります。

    (2)住宅用地に対する課税標準の特例

    住宅用地は、その税負担を特に軽減する必要から、その面積の広さによって、小規模住宅用地と一般住宅用地に分けて特例措置が適用されます。

    小規模住宅用地

    • 200平方メートル以下の住宅用地(200平方メートルを超える場合は住宅1戸あたり200平方メートルまでの部分)を小規模住宅用地といいます。
    • 小規模住宅用地の課税標準額については、価格の6分の1の額とする特例措置があります。

    一般住宅用地

    • 小規模住宅用地以外の住宅用地を一般住宅用地といいます。たとえば、300平方メートルの住宅用地(一戸建住宅の敷地)であれば、200平方メートル分が小規模住宅用地で、残りの100平方メートル分が一般住宅用地となります。
    • 一般住宅用地の課税標準額については、価格の3分の1の額とする特例措置があります。

    住宅用地の範囲

    • 住宅用地には、次の二つがあります。
      ・専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地
       その土地の全部(ただし家屋の床面積の10倍まで)
      ・併用住宅(一部を人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地
       その土地の面積(ただし家屋の床面積の10倍まで)に一定の率を乗じて得た面積に相当する土地
    • 住宅の敷地の用に供されている土地とは、その住宅を維持し、またはその効用を果たすために使用されている一画地をいいます。したがって、賦課期日(1月1日)において新たに住宅の建設が予定されている土地あるいは住宅が建設されつつある土地は、住宅の敷地とはされません。
      ただし、既存の当該家屋に代えてこれらの家屋建築中であり、一定の要件を満たすと認められる土地については、所有者の申請に基づき住宅用地として取り扱うこととなります。また、住宅が災害により滅失した場合で外の建物、構築物の用に供されていない土地は、2年間(長期にわたる避難の指示等が行われた場合には、避難等解除後3年間)に限り、住宅用地として取り扱われます。
    • 特例措置の対象となる「住宅用地」の面積は、家屋の敷地の用に供されている土地の面積に次表の住宅用地の率を乗じて求めます。
    住宅用地の面積
    家屋居住部分の割合住宅用地の率
    専用住宅全部1.0
    以外の併用住宅4分の1以上2分の1未満0.5
    以外の併用住宅2分の1以上1.0
    地上5階以上の耐火建築物である併用住宅4分の1以上2分の1未満0.5
    地上5階以上の耐火建築物である併用住宅2分の1以上4分の3未満0.75
    地上5階以上の耐火建築物である併用住宅4分の3以上1.0

    (3)宅地の税負担の調整措置

    平成9年度の評価替え以降、課税の公平の観点から、地域や土地によりばらつきのある負担水準(評価額に対する前年度課税標準額の割合)を均衡化させることを重視した税負担の調整措置が講じられ、宅地について負担水準の高い土地は税負担を引き下げまたは据え置き、負担水準の低い土地はなだらかに税負担を上昇させることによって負担水準のばらつきの幅を狭めていく仕組みが導入されました。
    これまで、負担水準の均衡化・適正化に取り組んできた結果、地域ごとの負担水準の均衡化は相当程度進展してきている状況にあります。
    こうした点を踏まえ、令和3年度から令和5年度までの負担調整措置については、引き続き平成30年度から令和2年度負までの負担調整の仕組みを継続することとされています。その上で、新型コロナウイルス感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について前年度の課税標準額に据置く特別な措置を講ずることとしました。

    「負担水準」とは

    個々の宅地の課税標準額が評価額に対してどの程度まで達しているかを示すもの
    次の算式によって求められます。

    負担水準=前年度課税標準額÷新評価額(×住宅用地特例率(1/3または1/6))

    (4)宅地の税額の求め方

    商業地等の宅地

    1. 固定資産税額は、次のとおり求められます。
       課税標準額(価格×70%)×税率=税額
    2. ただし、今年度の価格Aの70%と比べて前年度の課税標準額が以下の場合の土地については、今年度の課税標準額は次のとおりとなります。
    • 前年度課税標準額がAの60%以上70%以下の場合
       前年度課税標準額と同額に据え置きます。
    • 前年度課税標準額がAの60%未満の場合
       前年度課税標準額+A×5%(ただし、上記2により計算した額が、Aの60%を上回る場合はAの60%、Aの20%を下回る場合はAの20%が今年度の課税標準額となります。)
    • 前年度課税標準額がAの70%を超える場合はAの70%

    住宅用地

    1. 固定資産税額は、次のとおり求められます。
       課税標準額(価格×1/6※)×税率=税額
      ※200平方メートルを超える住宅用地は1/3になります。
    2. ただし、今年度の価格に1/6または1/3を乗じた額(=本来の課税標準額B)と比べて前年度の課税標準額が低い土地については、今年度の課税標準額は次のとおりとなります。
    • 前年度課税標準額+B×5%
       (ただし、上記2により計算した額が、Bの20%を下回る場合はBの20%が今年度の課税標準額となります。)

    (5)農地に対する課税

    一般農地

    一般農地は、市街化区域農地や転用許可を受けた農地などを除いたものです。
    一般農地については、負担水準の区分に応じたなだらかな税負担の調整措置が導入されています。

    今年度の課税標準額=前年度課税標準額×負担調整率

    一般農地の負担水準
    負担水準負担調整率
    0.9~1.025
    0.8~0.91.05
    0.7~0.81.075
    ~0.71.10

    市街化区域農地

    市街化区域農地は、市街化区域内の農地で、生産緑地地区の指定を受けたものなどを除いたものです。
    したがって、市街化区域内にある農地であっても、生産緑地地区の指定を受けた農地であれば、一般農地になります。

    一般の市街化区域農地

    一般の市街化区域農地は一般農地と評価の方法は異なりますが、課税については、原則として、評価額に3分の1を乗じた額が課税標準額となり、税負担の調整措置については一般農地と同様とされます。

    (6)宅地・農地以外の土地に対する課税

    山林・その他の地目(以下にある宅地並み評価のものを除きます。)については、次の1または2のうちいずれか低い額になります。

    • 今年度の価格(=本来の課税標準額D)×税率=税額
    • (前年度の課税標準額+D×5%)×税率=税額
       (ただし、2により算定した額がD×20%×税率を下回る場合には、D×20%×税率となります。)

    ただし、宅地、農地等のうちに介在する山林および市街地近郊の山林で、当該山林の近傍の宅地、農地等との評価の均衡上、一般の山林の評価方法によって評価することが適当でないと認められるもの(これを「介在山林」といいます。)については、当該山林の付近の宅地、農地等の価額に比準してその価額を求めます。
    この介在山林のうち宅地並み評価の土地およびその他の地目のうち宅地並み評価の土地については、商業地等の宅地と同様の税負担の調整措置が適用されます。